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 「月に行ったら二度とここには戻れない
  の。それでも行きたい?」
キーコは愕然としました。
お母さんにお餅を食べさせたい。でも、二度と会えなくなるのは嫌だ。
キーコはしばらく悩みました。
そしてとうとう決心しました。
 「判りました。お母さんの願いがかなう
  なら、私の命をさしあげます。」
月見草はこっくりうなずき、月に向かって叫びました。
 「我が友の月よ。今宵ここに哀れなうさ
  ぎが私の元にやって来て、自分の母親
  に月のお餅を食べさせたいそうです。
  どうかこの哀れなうさぎの願いかなえて
  ください。」 
しばらくして、お月さまから無数の光の帯びが、月見草に降りかかりました。
キーコは少し後ずさり、目をほそめます。


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