No.10 おばあちゃんのご加護?
 
 

 一時期、とっても忙しいときがあり、それこそ朝起きたときから時間刻みでびっしり予定がたってるのに、急に余計な用事まで入ると、目の回る思いで用事をこなしていました。

 そんな中、まだ2年生だったお姉ちゃんの忘れ物を車で届けに行ことになり、(私は忘れたのは本人のせいだから、届けるのは不本意でしたが、お姑さんが『可哀想だ』を連発してうるさかったから、仕方なく届けたのでした。)

 やっとの思いで家に着くなり、今日の予定を反芻しながら車から降りた途端、車がゆっくり下がりはじめてきた。そう、私の家は前庭が斜めになっていて、ギアをロウにしてサイドブレーキを引かないと、さがるのです。

 いつもは判りきっていることなのに、急な予定が割り込んできて、私の頭はいっぱいいっぱいになってしまって、そんな初歩的なことをすっかり忘れてしまったのです。

目の前で下がる車に私はパニックに陥り、わあわあ叫びながら、車に乗ろうと思ってもスピードが出てきて乗れず、運転席の窓を持って必死で止めようとしますが、そのまま一緒に引きずられ、成り行きまかせになるしか手はありませんでした。


家の前の道は割と細く、タイヤが曲がった状態で下がったので、もう、どうなってもしょうがないや。とあきらめてたら、なんと車は道一杯に横づけ状態になって止まったのです。

 しかも、途中セメンの壁があったので、へこんでもしょうがないと思っていたのに、丁度生け垣の所で横付けになったので、大きなキズにもなりませんでした。

 その後、車は反対方向に少し傾いたのですが、私が空しく両手で宙をかいていたら、こちらに戻ってきて、とりあえず収まりました。

 実は家の下には、お迎いさんの生け垣があり、へたをしたらそこに突っ込んでもおかしくない状態でした。また、観光客がよく通る道なので誰か轢いていたかもしれません。そう思うと、足が震えて、立っていられなくなりましたが、ハッと思い立って、まっすぐお仏壇に線香をあげ、お礼をしました。

 これはおばあちゃんが守ってくれたにちがいありません。 

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