やさしさ探検No.2
 
 昔から、「やさしい」といわれるのが、嫌いだった。
それは、自分の「やさしい」と言われる行為は、弱さ、ずるさからくるものだったから。
 例えば、部活の中で、「あの子嫌だから無視しよう」と話がでたとき、「かわいそうだからやめよう。」と言うけど、本音は、(あの子の無視が終わったら、次は自分かも。)という恐れから言ってるだけで、(その子が可哀想だから。)というものではなかった。

 だから、その「無視しよう」と言われた子が、「あなたなら、私の気持ち判ると思った。」と言われた時、本気で嫌悪感にかられ、「一緒にしないで」と言ってしまった。

 他にも、私自身、どちらかと言うと、いじめられっ子で、なかなか友達もできず、孤立していることが多いのに、いじめられっ子仲間には絶対に入らず、少しでもその人たちと差をつけたく、得意な科目を必死で伸ばし、(あの子達とは違うんだ)と言い聞かせたりもした。

 時には媚を売るように「やさしさ」の押し売りをして、「おせっかい」と相手を怒らせてしまうこともあった。どうしても、人に嫌われたくないと言う気持ちが強いのだろう。そして、そんな私の本心を見抜いた人は、「あなたに相談する人の気が知れない。」と言って去って行った。

 そんなこんなの学生時代を終え、社会に出て、初めて本当の「やさしさ」に触れ、と同時に、自分はたくさんの人に助けられ、生きていと感じ、今まで見えなかった、たくさんの「やさしさ」が心を満たしてくれた。

その時から、本当の「やさしさ探検」が始まった。

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