- 「ふ〜」
あかねちゃんは、ため息をついて座り込みました。
「あかねちゃん、ここからは目をつぶって着いきてくだい。」
どこからか、いきなり声がきこえます。
あかねちゃんは、どこから声が聞こえてくるかわかりません。
しばらくキョロキョロしてから、前を見ました。
タマがにっこり笑っています。
あかねちゃんは、ハッと気付きました。
なんと、タマがいつの間にか喋れるようになったのです。
「タマ、あんた喋れるようになったのね。」
あかねちゃんは、大喜びしました。
「私たち動物は、人間社会以外のところでしたら、しゃべれる
のです。ですから人間界に戻ったら、またしゃべれなくなりま
す。」
「ところで、ここはどこなの?」
と、あかねちゃんは聞きました。するとタマが、
「ここは人間界と犬の国の間です。犬は人間が大嫌いなので、
すぐに追い出されてしまいます。でも、犬は目をつぶっている
と、生き物ではないと思います。ですから、目をつぶってください。私のしっぽにつかまっていれば大丈夫です。」
あかねちゃんは、タマの言う通りに目をつぶってタマのしっぽにつかまって歩き出しました。
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