明治生まれの人は、戦争を乗り越え、逞しく子供を育て、自分の生き方に、絶対の自信を持っている。
だから、生きているその姿が、もう、菩薩様である。
おばあちゃんは、(主人の祖母だが、親しみをこめて以後そう書かせてもらう)時代が時代でなく、また、教養を身につけたなら、学者くらいにはなりそうな、研究心と知恵を持っていた。
私が嫁に来た頃、家で採れた胡麻を洗い、大きな風呂敷に包んで、私に「これを脱水機に駈けてくれ。」と言った。正直、このおばあちゃん、ぼけてるのかな?と思ったが、そうではなかった。
胡麻は、収穫すると胡麻の茎ごとしばらく干し、胡麻の入った袋?を叩いて胡麻を出し、(むしろの上で)それを何度もふるいにかけて(ここからがおばあちゃんの仕事。)ゴミを出し、その後洗って(この時、中身のない胡麻は上に浮くから、それを捨てる為、何度も洗う)水気を切らなくちゃいけない。
話が少し長くなったが、この時、おばあちゃんの知恵で、洗濯機の脱水機で水を飛ばそうと言うのである。これを知ったときの感動といったら。そして風呂敷にも縛り方があり、おばあちゃんのやり方だと、一粒の胡麻もこぼれないのだ。
よく、昔の人は新しい物を取り入れないとか言うが、このおばあちゃんは、いつでも新しい物をむしろ積極的に取り入れ、自分の生活を豊かにしている姿に尊敬の念を抱かずにはいられない。
ここからしばらくは、おばあちゃんの知恵の素晴らしさを紹介していきたい。
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