あれはまだ子育てが大変で、心の余裕を失ってたころ、私は仕事の為、保育園の迎えに行けなくなったことがあった。
当然、主人が迎えに行ってくれると言うことで、私は安心して仕事場に向かった。その後、帰るコールを自宅に掛けると、「今、どこにいるの ?」と言う義母の声に訳も判らずにいると、なんと、保育園から、「お迎えがこない」とのこと。結果、義母は車も運転できないので、保母さんが遅くに送ってくれた。
これは子供の心に大きな不安を与えてしまい、3か月は明るいうちに迎えに行かないと、子供はパニック状態に陥るようになってしまった。
ある時などは、いつもの時間に迎えに行ったのに、もう、泣いてあばれて大変なときがあり、「どうしたの?」と聞くと、「暗くなって来たのに迎えが遅い」と暴れるのである。その日は曇天で一日暗かったが、迎えの人が一人、二人と来るうちに不安になってきたのだろう。
私もあの日以来、迎えは何が何でも自分で行かなきゃと思ったくらいだから、子供の不安も相当なものだったのだろう。
ところがある日、どうしても早く行けず、真っ暗になってから迎えにいったとき、子供は少し泣きべそをかいたが、ボソッと「母ちゃんは忘れんぼうだからしょうがないな。」と言って許してくれたのである。
この時、私は子供から、真の優しさは、誰かに何かをしてあげるのではなく、相手のあやまちを許してあげるところにあるのだと、教えられた。
と同時に、私は子供が「親」として認めてくれるから「親」であって、「子供の世話をしてあげてる」というのは大きな思い上がりだと思い知らされた。
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